dogsalon One room

コラム

ogsalon One roomのさとうです。
飼い主さまとわんちゃんのより良いトリミングライフを目的とし経験と個人の主観に基づきトリマー兼経営者目線で
なかなか知ることのできないトリミングサロンの様々な実情やわんちゃんの情報などを発信しておりますU^ェ^U(独自の考察)

トリミングサロンが昔に比べ増えてきている中、飼い主さまは何を基準にトリミングサロンを選んだら良いのか、なにがどう違うのかをわかりやすく解説致します。
それをもとに飼い主さまがどんなトリミングサロンに愛犬を預けたいのかを改めて考えていただくきっかけになれば幸いです。

今回のテーマは『トリミング料金の違い』です。トリミングの料金はお店によってかなり違う場合もあります。飼い主さまにとって定期的にかかるトリミング代は安いに越したことはないはず。しかし、値段によってどんな違いがあるのかはいまいちわからないけれど、なんとなく安すぎても不安で、高いと安心だけど出費が気になるという飼い主さまも多いのではないでしょうか。
今回はそんな飼い主さまの疑問でもあるトリミング料金について解説致します。

トリミングの料金ってそもそも高くない?

飼い主さまから「私の美容室より高いわ」というお話をよく耳にします。では、なぜトリミング料金は高いのか、どのようにして値段設定されているのかについて簡単に解説致します。 

犬のトリミングに必要なものは「一定のスペース(場所)」「トリミング技術(トリマー)」「道具」「シャンプー等」「ガス、水道、電気」とシンプルであり、設備さえ整えてしまえば一頭を仕上げるのにかかる費用はおそらく数十円〜数百円程度。
では、なぜそんなに高いのか。
その1つの理由は「トリミング技術」です。犬という動物をうまく扱いながらシャンプーをして、形を整えるという技術は一般の方がご自宅で同じようにやるのは難しいということ。
基本的にトリマーは専門学校等に通い、その後もトリミングサロンで働き何年もかけて技術を習得していきます。なので真似したくても真似できないプロのトリミング技術自体に価値があるためです。

次に大きく関わっているのが「トリミングの所要時間」です。
例えば一頭を仕上げるのに3時間かかる場合、一日にトリミングできる頭数は2〜3頭が限度となります。また、トリミングは完全手作業のオーダーメイドのため大量生産は不可能です。そのため、トリミングを仕事として収入を確保するためにはかかる時間から値段設定をするというのが一般的な考え方です。
よってトリミング料金は「技術と所要時間」と「トリマーの人件費」によって設定されているということです。
そして人間の美容室との大きな違いがあります。それは美容室の場合は美容師さんが実際に髪の毛を触っている時間はトリマーと比べると短いうこと。カラーやパーマ、オプションなどをする際は待っている時間があり、その間美容師さんは他のお客さんの作業を進めることができるという点です。
トリマーの場合は基本的に1頭に対して常に作業をしている状態のため時間に対しての料金が高くなってしまうのです。
(例外として、犬を専用ボックスに入れて乾かしその間に他の犬のトリミングをするというサロンも最近ではちらほらあるようですが個人的には大切なコミュニケーションがとれるはずの機会を放棄しているのでそのようなサロンはおすすめできません)

また、トリミング料金は地域やお店によって様々です。
それはお店の土地代や家賃代の違いも影響しています。
そして、犬種によって料金が違うところがほとんどで基本的には前述の通り「トリミング所要時間」が違うのが理由です。トリミングにかかる時間が長ければ高くなり、短ければ安くなります。
また、同じ犬種でも体重や体格によって価格帯が変わるお店があるのは基本的にはこの理屈です。さらに噛み付いたり、暴れたりしてしまう犬はトリマー二人体制でトリミングをするお店も多くプラス料金がかかるなんてことも。

(ちなみにOne roomでは一人体制の口輪もカラーも使いません。プラス料金ももちろんかかりません。トリマーの能力の問題なので言ってみれば、ひとりではうまく扱うことができませんと自ら言っているのと同じようなものです。ましてや飼い主さまからお金をもらうなんて、、。)

毛玉料金に関しても所要時間がかかることや、定期的なお手入れをオススメするためのペナルティ要素が強いお店もあります。

なぜお店によってトリミング料金が違うの?

同じ地域にでもかなり価格に差がある場合があります。
そこでこの違いはなに?と疑問に思う飼い主さまも少なくないと思います。
どのお店もやっていることは犬のトリミングですがこんなにもなぜ差が出るのか。

それは、お店を経営する上でかかる経費が違うためです。
『あれ?あんまり経費ってかからないんじゃないの?』と思ったかもしれません。
そうです。前述の通り、1頭を仕上げるのにかかる経費はそう多くはありません。しかし、お店によって提供するサービスの質や規模、目指すものや目的が違います。
お客様へ常に安定したサービスを提供するためには
家賃代や人件費、備品やシャンプー代に加えて従業員の人材確保や育成、施設や設備の維持、新しい設備の導入など様々な面で経費が必要です。
なので、理屈的にはトリミング料金が高ければ高いほど質の高いサービスをお客様に継続的に提供できる体制になるということになります。
そして、この「継続的に」というのも飼い主さまにとって大きく関わってきます。お気に入りのサロンが急に閉店してしまっては悲しいし困ってしまいますよね。
このように値段の違いは「経営」と深く関わり、それぞれのお店の「方針」の違いでもあるのです。

では、実際に飼い主さまが利用する上で気になる「サービスの質」の違いとは何なのか。それは大きくわけて3つあります。
それは、
①お店(内装、外装、設備)の作り
・居心地の良い内装、清潔感など
・わくわくや非日常感を演出するような外装
・カウンセリングスペースやトリミングスペース、お預かりスペースなどの設備
etc.

②人材(トリマー)の能力
・トリミングの技術
・犬に関する知識
・接客力
etc.

③道具やシャンプーなどの質
・シャンプーの質や種類
・充実したオプション
etc.

です。
これらは基本的にお金をかければかけるほど質を高めることはある程度可能となります。
よって、トリミング料金が高ければサービスの質が高い可能性もあるということです。

また、経営状態が良いことは「余力や余裕」が生まれることに繋がります。その余力を何に使うのかによっても変わってきますが、健全な経営状態であればトリマーにとって良い環境の中で働くことができるようになり時間や精神的な余裕が生まれ、その結果サービスの質は上がりやすい傾向にあります。
ですが、そもそも余力のあるオーナーが経営していたりする場合も多いので必ずしもトリミング料金が経営状態に関係するかというと一概にそうではなくあくまでも一つの視点です。

では、トリミング料金が安いところは良くないの?

答えはノーです。

前述した通り、トリミング料金が高いということは安定したサービスを継続的にお客様に提供することに繋がります。しかし、どのようにしてお客様へ還元していくか、そもそも還元できているのかはお店の規模や目的や方針や努力によってそれは変わってきます。 
また、そもそも余力のあるオーナーが経営していたりする場合はトリミング料金が安くても経営状態に影響がありません。

そして、サービスの質の一番の鍵を握るのは担当トリマーです。
例えば、そこまでカットの仕上がりにこだわりがない場合高いお金を払って雑誌に載るようなトリマーさんのところでカットしてもらう必要はありません。
また、「担当するトリマーさんによってカットの感じが違う」という話もよく聞きますが
それはお店としてカットレベルが統一されているのか、仕上がりをチェックし、教えることができる人がいるのかなどが関係しています。これはある程度職場の環境が影響してくるところではありますが、指名制度もあったりするのでたまたま腕の良いトリマーさんがいる、自分の好みのカットをしてくれるトリマーさんがいる場合はその人にお願いする事で安定したサービスを受けることが出来ます。
しかし、トリマーは退職しやすい職種でもあります。そのため、継続的に利用するという点ではなんとも言えない部分ですがトリミング料金が安いからといって飼い主さまが求めるものが手に入らないかというとそうではないのです。 
そして、何を求めるのかは飼い主さまによって違うため単に「安いから良くない」というわけではないということです。
その逆もまた然りで、「高いから安心、良い」ということでもないのです。

結局のところ、、、

料金によって良し悪しが決まるわけではありません。しかし、傾向として料金が高いサロンはサービスの質が良い可能性があるため、様々な飼い主さまが求めるものが手に入る可能性が高いということ。

また、料金が高いところは付加価値がある事を前提としている場合が多いので、利用した際にも飼い主さまも同じように価値を感じやすい傾向にあり、さらにお金を支払えば自らの購買行動を肯定したいという心理も働くため満足しやすいという側面もあります。
ですが、実際に利用してみて他となにが違うのかよくわからないという飼い主さまもいらっしゃると思います。
大切なのは、飼い主さまが「トリミングサロンに何を求めているのか」を明確にすることです。
そして、トリミングサロンで実際にサービスを受けるのは愛犬です。飼い主さまからすると愛犬を預け、時間が経ってお迎えに行けば見違えたようにキレイに可愛くなってきますが、愛犬はトリミングサロンに着くと家族と離れ、シャンプーやブラッシング、爪きり、カットなどを飼い主さまがいない間に頑張っています。

大切な家族である愛犬を預けるのはどんなサロンが良いのか、そして愛犬はどのようなサロンに行きたいのか。
愛犬はそれを自分で決めることはできません。飼い主さまがそれを考えることが良いサロンに巡り合う第一歩となるのではないでしょうか。